「なに?騒がしいわね。」
オリビアが、地上から聞こえるざわめきを、聞き取り、立ち上がる。
「あ、俺が見てくるよ。」
ガイが、オリビアの肩に手をおき、制止した。
彼は表にでて、数分もしないうちに、戻って来て、何とも言えない表情をみせた。
「長、オリビア・・・。」
ガイの言葉に誘われるように、ジルと彼女は暑い日差しの元へと向かう。
岩盤の込み入った通路を抜けて、小走りに、展望の効く高台に立つ。
ヴォルハムンの民の、人垣に囲まれる人物が、見て取れた。
「オリビア。
あの方が、覇王様だ。
ヴァイス王子・・・。」
「え・・・」
遠目でも
あのシルエットは
忘れない・・・。
「ジル・・・」
オリビアは、困惑した瞳を、代表の男に向け、指示を仰ぐ。
「私が行こう。オリビア。
せっかく、この様な険しい道をお越しになったんだ。オマエのことは別として、無礼を与えてはならないだろう。」
優しい眼差しを、彼女に向け、男はいう。