まあ、国政を司る立場としては、放置しておく訳にもいかないので、実態調査を名目に、時折この親友と、夜遊び・・・に興じている訳だ。
「ヴァイス様、もしかすると、今夜は何か催事があるのかもしれませんね。
楽師達の前に、空間をとっている様です。」
「ほんとだな。」
特に興味はなかった。
カウンター越し、初老の店主に、度数の強い酒を注文した。
「私も、同じモノを。」
連れのディックも続く。
喧騒のなか、飾り太鼓の一打ちが、空間に響く。
さっきまでの方々から聞こえたダミ声や、笑い声が一気にひいた。
はじまるぞ
大勢の男達が、イスを楽師達へ向け、腰掛けなおす。
太鼓と弦楽器の音が、心地よく空間に響き渡る。
オリビア
オリビア
オリビア
口笛なんかと一緒に
男たちが、口々に女性の名を呼ぶ。
あまりの熱狂ぶりに、
最後にきた二人の男たちも
楽師たちの方へ、上半身をひねった。
「これは・・・美しい!」
ディックが賞賛する。