「アンジェラ?
こんなところで、なにをしている?」


彼は近づき、声を発する。

「覇王!」

彼女は、驚いた様子で言葉を紡ぐ。

「どうしてここへ?」

「願掛けでもしているのか?」

・・・明らかにカマかけだった。

彼女は、なにをいっているのかと、不思議そうに笑み、言葉少なく答えを返してきた。

「精霊を敬い、その恵みに感謝を告げる。当然の事でございます。

私も、まもなく、成人の儀を迎えるのです。

多少なりの公務も、催事も取り仕切れるというもの。

そのためには、民の支えでもある信仰を、今一度見つめ直しているだけですわ。」

違和感のある、模範解答に戸惑う自分に、彼女は一国の王子に恭しく頭をたれて、立ち去る失礼を述べた。


その戻りゆく後ろ姿は、、容姿もあってか、妖精の様でもあって・・・。


また、相当、視界の利かないこの刻に、こちらに参り慣れてると思える足取りでもあって。


彼女の思考が読めず、不穏な予感を抱く。


「成り行きに任せるか
・・・否か」
一人つぶやいた。