『うちの女の子達じゃ、お気に召さないっていうんだもの。この界隈じゃ、良いタマ揃いで評判だっていうのに。』

女が残念そうに独り言を零していた。

「やっぱりか・・・」

物影に隠れ、その独り言を聞いていた、オリビアは苦笑する。

横取りしなくて良かった。
やはり、自分の店の者に客引きをさせたかった様子だ。


それにしても・・・



その男



ジャンが言ってた男と
同じ人物じゃない?

妙な胸騒ぎがした。


ああ、あぶない。
こんな日は、さっさと寝るに限る。

オリビアは、部屋の鍵をおとし、ベッドに転がる。

青い月が、夜の闇に
冷たい光を放っていた。

今夜も冷え込みそうだ。



明日は、日の出と共に
ここを発とう。
ウトウトと、月を眺めながら、しばしの眠りについた。