報われぬ想いなど、早く忘れてしまいたい。


せつなげな瞳をして、彼女は、行くべき道に進路をとる。

砂漠に抜ける最後の石段を登り、前方に目線を向ける。


そこに、再び
その男はいた。

「ヴァイス・・・」

二人の距離が縮まり、その腕に抱きしめられる。

男の首に腕を絡め、もう一度、その名を呼んだ。


「オリビア・・・」

無言で、自分の胸に顔を埋める彼女の名を呼ぶ。

「おまえの・・・本当の気持ちを聞かせてくれないか?」

このまま、未練を残して、進んでいきたくないから・・・。

彼女は、その言葉を受けて男の目をみつめた。

「愛してるわ。

本当は・・・最初から
惹かれていた。」

その瞳に、苦悩の色と涙を浮かべ、彼女はそれだけを告げた。

二人は、もう一度抱きしめあい、キスを交わす。

首筋から、胸元に落ちるキスにオリビアの唇から吐息が零れた。


「もう・・・いかなきゃ」


「ああ・・・」



離れがたくも
最後に交わした言葉が、
それだった。