「瑞穂達待ってる間に有明と口之津と小浜センセー見たんだけど」

「えー?!ナニソレ!」


深江が声を上げる。


「ていうかなんであの女だけ『小浜センセー』なのよ!
呼び捨てでもいいじゃん!」

「え?いや、なんでだろ。何となく?」

「布津君も美人には弱いんだー!あーあ、ガッカリー!」


頬を膨らます深江を布津がなだめる。
その様子はハタから見れば普通にカップルだった。



「ああね、口之津が言ってたわよ。懇親会ですって」

有馬は驚くことなく淡々と答えた。


「珍しいな有馬。お前が反対しないなんてよ」

「したわよ!するに決まってんじゃないのよ!!」

「ひぃっ!!」


布津の言葉に有馬が噛み付くように声を上げた。



「あのバカ男、あの女と有明先生の仲を取り持つつもりでいんのよ?!
マジありえないっつーの!!
あー!やっぱりもう一発殴っとけばよかったわ!」


ということはすでに数発殴られているのか・・・。


布津と瑞穂はそれを想像して背筋を凍らせた。



「でっ、でもよぉ~、有明って彼女いるんだろ?
じゃあ大丈夫じゃね?」

「はぁ・・・?」


怒り狂っていたかと思うと今度は布津を冷たい眼光で睨みつける。


布津は思わず瑞穂の背中に隠れた。