「愛しています」

「ッ……」


アメジストの瞳が大きく見開かれ、次の瞬間、綺麗な眉が寄せられる。

ラファエルの頬には一筋の涙がつたっていた。



それは初めて出逢った時のように…

見ているこちらが切なくなるような表情。





「ラファエル様…」


ゆっくりと大きな体が近づき、広い胸の中に引き寄せられる。

息が詰まるほど強く。

けれどその息苦しさも気にならないくらい私も必死にしがみついた。




「ありがとう…イヴ」


私の肩口に顔を埋めたラファエルが声を絞りながら呟く。





「俺も愛している」


耳元で囁かれた言葉に胸が締め付けられた。

それは一番欲した言葉。

ずっと“イヴ”だけの特別な言葉だと思っていた。

だけど今この瞬間だけは信じていたい。



ううん…信じさせて。

この言葉は私に向けられた言葉だと…

私だけの言葉だと。



そう心の中で想いながらラファエルに腕を伸ばす。

胸のあたりの服をキュッと掴めば、ラファエルが私の腰を自分の方へ引き寄せた。

グッと縮まった距離で見つめ合う。




そして…




どちらともなく唇を重ねた―――