「南朋、早くここから消えて」

南朋は私を無視して飛鳥に話かけてきた。

「私ねー、君のお姉ちゃんの彼氏の元カノなんだー」

「「?!!っ」」


ちょっ、なにを言ってるのっ!?


「南朋っ!!」

一馬も叫ぶが、そんなの気にしない。
飛鳥の頭をなでようとしてきた。


パシッ


「あすっ・・・」

なでようとしたが、飛鳥が南朋の手を振り払った。
長年一緒に飛鳥とはいるけど、本当に別人のようだ。

怒りのオーラを感じ、目は睨んでいて。


「私に、触らないで」


南朋は少し驚いたのか、一歩だけ後ろに行った。
私は飛鳥に恐怖を感じ、距離をあけた。


「南朋さん、今『元カノ』って言ったでしょ?」


飛鳥は凛々しい顔を南朋に向けた。

「うん」



「じゃあさ・・・今でも『元』なんでしょ?」



これは、飛鳥のキレた時の目だ。
昔一回だけ見たことがある。

私はその時まだ小さくて、飛鳥も小さかった。

でもなぜか飛鳥は本当に怒って、私は泣いた。

大声で、泣いた。


「・・・妹も生意気ってわけ」

「ほざけ」

ピリピリした空気、気まずい関係。

一馬はめんどくさそうな表情。
南朋はムカついている。
飛鳥は完璧にキレて、冷静。


私は―――――ホント、泣きそう。