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私は鏡の前に座らせられた。
飛鳥は私の後ろでジロジロ見ながら腕くんで考え込んでいる。

「・・・じゃあこれはどうだ」

そういうと飛鳥は小さな透明のゴムを取り出した。
・・・しかも二つ。

「え、なに。これからなにすんの」

「みつあみ」

「えええぇっ!?!?」

「な、なんでそこまでビビるの」

いやいや、私・・・本当にみつあみは似合わないんですよっ!
昔、幼稚園のころなんてみつあみで行ったら男子にいじめられたもん。

「大丈夫、大丈夫。私にかかれば梓なんて可愛くなりすぎて一馬くんよりカッコイイ子にモテるよ」

「え、いやだ。モテたくない」

他の人にモテるんならこのままで良い。

「あはは、うそうそ」

「ぇ、今の嘘っ?!!(それはそれで悲しい)」

「あんた結局どっちやねん」

いや、え、モテないってのも嫌だし。
ブスでも一馬に嫌われたら一巻の終わりだし。

「か、一馬にモテるなら・・・」

「まぁ、初々しい♪」

飛鳥は手際良く私の髪を二つに分け、みつあみをし始めた。
あれ、私・・・こんなに髪、長かったっけ。

「姉ちゃんいいなぁー、胸まで髪が長いなんて」

「飛鳥だって髪長いでしょ?」

「私はセミロング」

「ふーん・・・」

私は本当にメイクとか、ヘアスタイルとか、そこらへんの知識は欠片もない。
だからそういうのに詳しい妹がいてラッキー。

「飛鳥は将来なにになりたい?」

「んー、やっぱヘアーアーティスト。私、人の髪いじるの好きだし」

「そっかそっか」

本当、この歳して偉いな飛鳥は。

「ほれ、出来たよ姉ちゃん」