「梓、アンタ過去最高にキモいんですけど」

「だってしょうがないじゃん・・・」



『・・・梓ちゃんになってもらいたいから』



ぅわああぁぁ~・・・ヤバい、私かなり重症かもしれん。
つか、なんでこのフレーズだけ無償に大音量で響くんだ。

『・・・梓ちゃんになっても―――――


もういい加減に止めてぇ。


「すっごい蓮くんの声がやまびこみたいに響いてくるんだもん・・・(泣)」

「え、それって嬉しいの?鬱陶しいの?」

うーん・・・どっちかというと、てかどっちにも当てはまらない。

「分かんない」

いや、多分嬉しいっちゃ嬉しいんだと思うけど。
このせいで本当に授業に集中できない(もともと)。



キーンコーンカーンコーン



「起立っ!礼っ!ありがとうございましたー」

―――――――――――

ガチャッ

「ふー・・・ただいまー」

「あ、姉ちゃんおかえりー」

私はゆっくり部屋に戻っていった。


ガチャッ


「蓮くんの家に行こう」

クローゼットを開け、緑色のワンピースにグレーのスパッツを取り出した。
今日は少しやる気が出ない。

だから髪もお団子じゃなくて久々にたらしてみた。

「んー・・・これじゃあ暑いかなぁ?」

私はすぐに着替えて部屋から出た。

「飛鳥ー、ちょっと私蓮くんの家に行ってくるからー」

「え、もしかして姉ちゃん。浮気ー?」

「ふっ、馬鹿いうんじゃないよ」

「うわー、姉ちゃん姉御ー」

なにを言っとるんだコイツは・・・
とにかく私は携帯を大きなポケットに入れ、サンダルを履いた。

「じゃあいってきまーす」