いや・・・それはないでしょ。

私は小声で一馬に問いかけた。

「え、ちょ・・・私の家の前で?」

「だって、これからキス一つだけの事でそこの公園まで行く気力、梓ある?」

そりゃあ・・・無いですけど。

「・・・分かったよ、言っとくけどこれすっごい恥ずかしいんだから」

「うん、知ってる(笑顔)」

「・・・(意地悪だな)じゃあ目、つぶって」

「うん」

沈黙。
たった今、自分の家の前だというのに無防備やしないか自分。
私はそっと顔を一馬と近づけた、心臓が速度を増す。
・・・あと1cm。



チュッ



「ん!?」

ぇ。
どういう事かさっぱり分からないまま私は一馬の方を向いた。

「あまりにも梓からじらすから俺からしちゃった、今度までのおあずけ」


っ!!!


「し、心臓止まるかと思った・・・じ、じゃあまた明日ね」

イキナリすぎて鼓動の速度をコントロール出来ない・・・
本当、毎日が冷や汗って感じがする。

「うん、また明日」

そういうと一馬は笑顔で私に手を振って行った、焦ったー・・・(汗)

「・・・あれ?」

大きな背中、すこし野暮ったい歩き方、いつも楽しそうにする姿。

今・・・なんか、一馬じゃない気がした。
なにかの思い出が一馬とかぶる、そういや後ろ姿が誰かと似てるな・・・