こんなに必死になった一馬を見るのはいつのことだろう。
もしかしたら、これが初めてかもしれない。

こんな真っ赤で、こんな汗が吹き出していて。

「俺は、梓、お前を・・・」

「・・・」

私はただ一馬を見ていて、冷静に一つ一つの言葉を聞き逃さなかった。

「・・・なに?」

一馬は深呼吸を二回ほどして、私の方に向いた。







「俺は・・・梓、お前を―――――愛してる」







「・・・え?」

ぇ、ちょ、今一馬っ・・・!?
心臓がいっきに速度を増す。

さっきまでの冷静さはどこに行った。

「ちょ、今・・・今なんて言った?」

私はあまりにも信じられず、一馬に聞き返した。



「俺は、梓を愛してる」



「ぁっ・・・!」

き、き違いなんかじゃない。
ハッキリ、この耳で二回も聞いた。



『愛している』



私は驚きのあまり、口に手をあてた。

どうしよう、これじゃあ告白なんて出来ないよ。

「まだ、言ってほしいか・・・?」

「ぇ、あ、い、いや。大丈夫!!聞こえた!!」

「そっか・・・」

うっそ・・・
一馬が、こんなくさい台詞を・・・私に。

面と向かって私に言ってくれるなんて。