「では」

「「いただきまーす」」

ムグムグムグ・・・

「あ、意外と美味しい!」

「酷いな、これでも小学校のころ家庭科ではオール5だったんですけど」

「お、やるねー。でも俺も料理は得意の方だけど?」

「聞こえな〜い」

窓から日が沈んでいるのが分かる頃、私達はまた蓮くんの話に戻った。
もうすでに一馬は3杯目で私は2杯目だった。

「ねぇ、蓮とは―――――」

「え、なに?」


「―――――蓮とはつき合ってた?」


・・・え?

「つ、つきあってないけど」

急の質問に戸惑う、昔の記憶がフラッシュバックした。

「本当?」

「本当だよ、だってその頃は私達チビだったもん」


『じゃあ、十年後ボク、あっちゃんのカレになる!』


砂遊び、ブランコ、すべりだい、シーソー・・・シーンの一こま一こまが消えてゆく。
―――――私達の笑顔だけは消えないで。

「一馬、おかわりいる?」

「あ、いやもうお腹いっぱい」

「そりゃそうだよね、じゃあ洗うからマグカップ渡して」

「はい」

私はマグカップを手に取りキッチンに戻った。

ガチャッ

え、ガチャッ?

「ただいまー!はぁー楽しかった、お母さんご飯・・・って」

「おかえり、飛鳥ちゃん」

「あ、おかえり!ご飯、ミネストローネだけどあるよー」

まさかココに飛鳥が帰ってくるとは、予想もつかなかった。
でも親が帰ってくるよりはマシだね。