「全く・・・人が話している時にキスを仕掛けてくるなんて」

「仕掛けるって・・・そこは彼氏彼女として許してくれても良いんじゃ?」

なにを言う、駄目に決まってるでしょ。
私はトマトの缶を勢い良くギュッギュっと開け、鍋にそれを注ぎ、水で洗い、ごみを一馬に渡した。

「てか結局『じゃなくて』の後はなんでキスになるんだって話ですよ」

私はキャベツが入っているビニール袋を包丁で破りごみを一馬に渡した。
そのごみを一馬はゴミ箱に捨てる。

「いやだから料理より梓といたいな~みたいな乙女心なんですって」

ポイッ

「乙女心って!!(笑)つか料理してても一緒にいられるじゃん」

ポイッ

「じゃなくて、こう・・・このとてつもなく大事な時間を梓と共に・・・みたいな」

「どこぞの韓流ドラマの捨て台詞だよ」

「あーもーなんでも良いじゃん、ゆっくり梓とくつろぎたいんだよ」

お、言うじゃん。

「うーん・・・でもこの料理が終わってからね?」

―――――――――――

ミネストローネの出来上がり、隠し味はちょっぴりスパイス。
これは・・・なかなかの出来かもしれないぜオイ。
ちょっと、早く一馬に知らせなきゃ。

「一馬ぁー!スープが出来たから下におりてきてー!!」

・・・あれ。

「一馬ぁー?」

うーん・・・ここからなら絶対聞こえるはずなんだけど・・・
私は駆け足で階段を上がった、部屋を開けてみると。

「あ」

スー・・・スー・・・

寝ちゃってんな。
どうしよう、このまま寝かせて置こうかな。
とりあえず私は一馬に毛布を掛けてあげた、すっごい・・・寝顔はカッコ良いのに。

「んー・・・やっぱカッコいいね」

グイッ


「それはやっぱ俺のことだよね?」


なっ・・・!!
お、起きてたっ・・・!?
てか、顔・・・顔が近っ・・・!

「い、いつからっ・・・」

「ん~?さっきから、目ぇつぶってただけ」

コイツはさっきから・・・私をおちょっくっているつもりか?
いやに心臓の鼓動が早くなるんだっつの、ヤメテくれよ本当にもう。