とりあえず私は冷蔵庫から野菜と肉と調味料を取り出した。
隣にいる一馬は無視っと(軽く聞こえないふり)。

「ねーねー、なに作るの?」

「・・・」

「おーいー、ねぇもしかして無視?」

お前なんて知らないぜ、ちなみに見えないぜ。

「うーん、あ、今日は・・・えっ、酢豚っ!?」

あ~わ~、きーこーえーなーいー。


 小指心
  ありえない一日


「じゃあ・・・分かった、あのキャンプとかで定番のカレーだな?」


「コノヤロ、だれがカレーなんて作るっていうんだ」


「あ、やっと喋った」

「∑(゚∇゚|||)!?」

し、しまったぁああ・・・
ついつい口がすべってしまったぁああ・・・!!(ツッコミ症)

「・・・言っとくけど断じてカレーではないから、そこらへんをお楽しみに」

私はたらしていた髪の毛をゴムでお団子にした。

もう良い、どうでも。
でも、これだけは言える。

断じてカレーなんぞわしは作ったりしません、本当です。

「うーん・・・楽しみだけどさぁ」

「なんだその地獄から這い上がってきた様な声は、そんなに嫌なのか」

「いやいやいや、むしろめっちゃ食べたいっつの。じゃなくて」

「じゃあ、なにが言いた―――――

・・・唇に暖かく柔らかい感触を覚えた。

「・・・」

「・・・っていう事ですよね」


「どういう事じゃ」


私は今さっきまで野菜を切っていた包丁を一馬に向けた。

「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」

「知るか、こっちの方が恐怖したわっ!!」

不意打ちキスとか、こちとら少女漫画やってる訳じゃないんだからさぁっ!!

「でもぉ・・・正直、ドキッとしなかった?」

「違う意味でね」

「うわぁ酷いっ!!」

「それは君にそっくりそのままお返しするさ」