「そんなの、お前が決めることじゃねーんだよ」

「かず―――――」

二人とも、止めてよ。

「『彼氏』の権利です」

お願い。

「権利?ふざけんな、誰がそんなもん与えたんだよ」

聞いてよ。

「だか―――――」





「二人とも、止めてっ!!」





「「っ!!」」

私の心の奥深く。

「か、勝手に二人だけで先を進めて」

自分でも知らなかった感情が。

「自分のことばっか言い合ってっ」

言ったこともない言葉が。





「もう止めてよっ!!!!」





一気に溢れ出した。

「梓・・・」

「梓ちゃん・・・」


「・・・っ」


まぶたの向こう側、いつのまにか涙で見えなくて。


「あ・・・」

大粒の涙が、

「・・・」

重力で落ちた。