この時は二人で気楽に笑い合っていた。

この関係が楽しくて、久しぶりだった。

こんな気分。

何年ぶりだろう。



一週間ほど経つと彼女は私に飛び込んできた。

「南朋ー!名前が分かったっ!!」

私は奈留から借りた雑誌を読んでいた、黄色い声が私を呼ぶ。
嬉しそうだなぁ。

「そんなに急いじゃって、名前は?」

「れ、れん・・・小山・蓮くんだって!!」



ズキンッ



「へ、へー。それ、名前間違えてないでしょうね?」

「あったりまえ!もう何回も聞いちゃったもん!!」

奈留は笑顔で私に言った。
顔が真っ赤になっている、汗もかいていて。

きっと、緊張してたんだろう。

「近くでみると凄くかっこ良かったぁ・・・名前までカッコイイし!!」

キラキラしていて。

その笑顔は可愛くて、私には歪んだ事しか言えなかった。
応援の言葉でもなくて、褒めてあげられなくて。


「・・・そーいえば、蓮って彼女持ちじゃなかったっけ?」


それは私のくせに。
こんな優しい子、めったに私の周りにはいなかった。

「知ってるよ?」

「・・・え」

急に空気が重く感じた。

奈留は、私と蓮のこと。

気付いていたの・・・?

「南朋、蓮の彼女さんだったってね」

奈留は頑張って、涙を出さない様笑顔でいた。
それが私は見ていれなくて。

「もー、南朋ったら意地悪なんだからっ!そんなこと言うと嫌われるよー?」