あのキス以来、私はあの『蓮』が頭から離れなくなった。

「・・・蓮」

私は一馬が好き。
一馬を取り戻しにここまで来た、といっても過言ではない。

でも、信条・梓。

それに、一番の悩みの種。

小山・蓮。

「何考えてんの・・・」

本当に、私は一体なにを考えているんだか。
自分自身も分からない。


 小指心
  南朋と奈留

一週間ほど前。
私がまだ蓮と付き合っていたころ。

登校途中、私は今仲がいい『岡本・奈留(おかもと・なる)』に会った。

「あ、南朋じゃん!っはよー!」

「おはよー」

本当この子は私が転校してからというもの、一番に絡んで来た。
最新のファッション、アクセサリー、そんな話をいつもしてくれる。
彼女はキラキラしていて、凄く心が綺麗。
可愛くて、こんな私にはもったいないくらい。

私にはまぶしすぎた。

「ねー南朋ー」

「んー?」

「私、最近好きな人・・・出来ちゃったかもっ」

「えー本当?いつも奈留ってコロコロ変えるじゃん」

「今回は本当、なんか一目惚れなんだって!!雰囲気が違うのっ!」

「雰囲気?」

「こう・・・オーラっていうか、初恋の時以来の気分なのっ!!」

いつにも増して、この時の奈留はキラキラしていた。
うらやましい、そんな好きな人が出来るなんて。

こんな気持ちにさせるなんて、一体誰なんだろう。

「その好きな人って誰?」

「それが一瞬見ただけだから名前が分かんないんだー、なんかあんまり見た事ない人だったなー」

「それ、意味なくないっ?」

「あ、でも一つ分かってるのは先輩ってことだけ!」

「ヒント少なすぎー」

「もう、良いでしょ!絶対見つけてアタックしてやる」

「ま、せいぜい頑張ってみれば」

「南朋、いつにも増してクール〜」