「・・・梓」
「かず―――――
ズキッ
―――――一馬が、私の視線を離した。
「一馬・・・」
あんな一馬の目、見た事ない。
偏見の目、蓮くんのことは一瞬も見ていなかった。
やっと掴んだ絆、だったと思っていたのに。
それを自分から断ち切ってしまった。
「梓ちゃん、どうかした?」
「・・・」
今から一馬の元へ行くか、このまま蓮くんと登校するか。
迷いに迷って。
「・・・なんでも、ないよ」
距離を置く方をとった。
―――――――――――
「・・・様乃」
「なに」
「私、この頃一馬のこと、傷つけてばっかなんだけど・・・」
「で」
・・・『で』って。
私にも分からないよ。
様乃は視線を本から私に移した。
私は机の上で顔をうずくまる、やりきれない気分だ・・・
「だから、アンタいっつもそうだよね」
「なにがぁ?」
「その、自分は結局なにがしたいのかが生温いところ」
「・・・?」
「ようするに、お前はなんに対しても『甘過ぎ』なんだよ」
なにに対してもはないでしょ・・・(凹みすぎてツッコミも出来ない)
「ダラダラダラ・・・見ててイラつく」
「ちょ、今のは言い過ぎっ」
「何言ってんの、言い過ぎじゃないよ。説教っつーの」