『隣、僕の家なんだよね』

思考停止。



ブツッ
プープープープー・・・



「お姉ちゃん、蓮くん何だって?」

「・・・まとなり」

「え?」

「家が・・・私達と隣の家なんだって」


 小指心
  動揺の連鎖

  
「・・・うっそお」

「ホント、うっそおだよね」

なんかこう・・・いかに現実味がないか。
まず、蓮くんが急に帰国してきた事。


次、家がまとなり。


それぞれの理由、いまだに分からず。

「今から行くの?本当に?」

「だからこうして着替えてるんでしょ」

私は制服をハンガーに掛けてクローゼットにしまった。
長めのレースとラメ入りのシックなグレーと黒のワンピース、それとスパッツ。
髪はいつも通りのアップのお団子。
ピアスは控えめな感じのシルバーで丸いやつ。
荷物は携帯だけをポケットに常備、私はドアを開けた。

「じゃあしばらくお姉ちゃん行ってくるから、なにかあったら電話してね」

「ん、ちなみに今は5時でお母さん達は7時に帰ってくるからね」

「オッケ」

私は黒いサンダルを素早く履いて出かけた、少し蒸し暑い風が覆いかぶった。

ガチャ

「本当にまとなりなのかなぁ・・・」

歩くこと、たったの1秒。

「マジ・・・」

—————本当に隣でしたよ。