学校に着いてからの海斗の足取りは慣れたものだった。
購買部に行くといつもの光景が広がっていた。
購買にある椅子には朝練のあった部員で埋まっていた。
そして売店にはおばちゃん一人が立っていた。
海斗はお金を財布から探しながらおばちゃんに注文した。
「焼そばパン5個とコーヒー5本ね」
「あら？海斗くん今日も来たのね。友達の分も毎日買って優しいわね」
この人は悪気はないのだろうが、
海斗の心にはぐさりと刺さる言葉だった。
「海斗くんどうかした？体調でも悪いの？」
おばちゃんは商品を海斗に渡しながら、海斗の様子に心配していた。
海斗は商品を腕に抱えてからおばちゃんに
「大丈夫だよ・・・ありがと・・・」
と言って力なく笑いながら購買部からでていった。