どんなことがあっても朝はいつも必ずやって来て、平日ならば学校がある。





あたしはいつものように一人で起きて、一人でご飯を食べて一人で学校へ行く。






でもいつもと唯一違ったのは、外に彼がいたことだろうか。







「お、柚じゃん。はよ」




そんな気軽さであたしに声をかけてきたのは、隣に住む幼なじみの樋下 京輔(ヒノシタ キョウスケ)だった。





優兄の弟の京ちゃんとは、この京輔のことだ。




どうやら京ちゃんもこれから学校へ向かうとこらしい。




物置小屋から引っ張り出してきたらしい黒い自転車に丁度またがっていた。





あたしは、にこりと笑みを繕い頷く。






これはあたしなりの、朝の挨拶。






「お前、また痩せたんじゃねぇ?」





と、京ちゃんに言われお腹をさすってみる。






大して変わってない気がする。






「お前は自分の体に頓着ねぇもんな。ちゃんと飯食ってんのかよ。」





京ちゃんはあたしのお母さんですか。





苦笑いを浮かべ、大丈夫だよと首を降って見せる。






「いつでも家来いよ。母さん、いつだって大歓迎っつってたぞ。」






優しい、おばさんの笑顔が頭に浮かぶ。





おばさんの手料理はいつも美味しくて、昔はいつもご馳走になってたっけ。