…そう言えば暁くん、みんなに“アキ”って呼ばれてたなぁ。




あだ名まで一緒なんて。




不思議な縁に、正直あたしは戸惑っていた。






ふわりと蒼空を見上げる。




春特有の、優しい色合いの空。






そうだ、あたし。






三年前、この空を見上げて詩を書いた。





一度も歌うことのなかったあの歌。






それを歌いたかったって、一瞬でも思ってしまったあたしが 嫌だ…。






本来なら、アキちゃんを“殺した”あたしは死んで詫びるべき。






――――アンタのせいでっ、瑛はぁっ!!瑛を返して!!返してよぉぉッ!!―――――







お葬式のときアキちゃんのお母さんは、怒りと憎しみが渦巻く瞳から溢れた涙で顔をぐちゃぐちゃにしてあたしを睨み付けた。





本当に、殺されると思った。





でもそれでもいいと思った。





けれど、アキちゃんのお母さんは力一杯あたしの頬をぶっただけだった。





反動で体が畳の上に投げ出されて、頬はいつまでもヒリヒリと痛んで、口の端からは血が筋を残して滴り落ちていった。






それでも、アキちゃんに比べたら痛くないって思ったらなにも感じなくなった。