このパジャマ、誰の?
パジャマを指差し、首をかしげると暁くんは苦笑した。
「言っとくけど、俺のじゃないからね。沙夜のだよ」
あ、沙夜ちゃんの…。
「前に来たときに着替え買わされて、その内の一つ置いていった。」
だからサイズも大きすぎないんだ…。
沙夜ちゃんは一つ年下だけど、あたしより背が高い。
163センチって言ってたかな。
だから少しブカブカな程度で、着れないことはない。
「よかった、沙夜のがあって。さあ座って?今紅茶淹れるから。ティーパックで悪いんだけど」
そう言うや否や、暁くんはキッチンに消えた。
でも、どうやらお湯は既に沸いていたらしくすぐに戻ってきた。
しかも何やらタッパを二つほど手に載せている。
「ごめんね。凝ってる人は凝ってるんだけど、大体の人は飲めればいいっていう感じだから。俺も実は後者なんだけど」
ティーパックのことを言っているらしい。
正直それは意外だったから驚いた。
「種類だけはたくさんあるから、好きなの選んでね。」
空のティーカップと籠に入ったたくさんのティーパック、湯気の出ているポットをテーブルに並べた。
さらに、先ほどから手に持っていたタッパも開ける。
途端に、甘い匂いが立ち込めた。
うわぁ、美味しそう…!
そこにはチョコチップのかかったスコーンや、甘そうなケーキ、タルトなどがぎっしりと詰まっていたのだ。
それも色んな種類のものが、たくさん。