黎児は高校二年生だ。

この年頃になるとだんだん色気づいてきて、髪型に凝ってみたり身嗜みに気を遣ってみたりするものだが、彼に限っていえば、それらには無頓着だった。

いや、彼だけではない。

彼の通う学校は男子校である。

色気づくのは異性がいるからこそ。

その異性の存在しない学校とあっては、黎児が他者の目を気にする筈もない。

寝癖がついたままの頭も、曲がったままのネクタイも、ズボンからはみ出したままのシャツの裾も、最早日常である。

そうでなくても、黎児はインターネットに依存して学校に行かなくなったインターネット依存症、ことにネットゲームに熱中するあまり、これらゲームに過剰な依存状態を示す人間、いわゆる『ネトゲ廃人』なのだ。

三次元よりも二次元重視。

身嗜みなど二の次だった。