「…やりっ」

薄明るくなり始めた部屋。

パソコンモニタの前で、少年は小さくガッツポーズを見せた。

画面の中では、同じようにポリゴンの女戦士が武器を振り上げて勝利ポーズを見せている。

画面にウインドウが開き、表示される。

『ケルベロスを倒した!クエスト達成』

『レベルアップ!次元跳躍の魔法を覚えた』

その表示に満足そうに笑みを浮かべ、彼はパソコンモニタ右下の時間を見る。

午前4時。

もう朝ともいえる時間だ。

結局一睡もせずに、こんな時間までネットゲームに興じていた。

ほんの少しレベル上げだけするつもりが、つい熱が入って中ボスまで倒してしまったのだ。

(少し寝なきゃ…)

ゲームデータを保存し、パソコンの電源を切って、彼はベッドに潜り込む。

三時間くらいは眠れるだろうか。

(我ながら『廃人』だな…)

布団の中でまどろみながら、少年は自嘲するのだった。