黎児はいきなり言い掛かりをつけられた形だ。

「お前こそ何喧嘩売ってきてんだ!ネットカフェでログインすると入手できるレアアイテムの『麗しの給仕服』ゲットして悦に浸ってる俺を邪魔する気か!」

「悦でも泥水でも勝手に浸れや!但しお前のゴミ屋敷に帰ってやれ!」

「誰がゴミ屋敷だ!ちゃんと月に一回は掃除してるっつの!」

「掃除は普通毎日するもんやボケ!部屋に虫湧くわ!」

「湧いてねぇ!何なら俺の部屋来て確認してみろ!」

「行くかアホンダラ!迂闊に部屋入ったら拉致されて監禁されて犯されて殺されて埋められるわ!」

「俺はどこの猟奇殺人鬼だ!大体男犯すのはてめぇだろうがガチホモ!」

「まぁた朝の話をほっくり返すんか!お前マジでいっぺん泣かすぞ!」

「おぅやってみやがれ!てめぇこそそのガキくせぇツラ半べそに…」

黎児が言いかけた所で。

「お客様…」

額に青筋浮かべたネットカフェの店員が、二人の肩をポンと叩く。

「大きな声を出されますと他のお客様のご迷惑になりますので、どうかお静かに帰りやがれ」