「誰がガチホモやねん。お前滅多な事言うてたらシバくぞボケ!」

軽妙且つ毒の効いた言葉遣いで黎児を罵るベビーフェイスの彼が、巫 真琴。

少しブカブカ気味の制服、肩まで伸びた黒髪。

このままズボンからスカートに履き替えさせたら、女子高生としても通用しそうな顔立ちだ。

「てっめぇ、いきなり踵落としとは何しやがる!」

頭を押さえて怒鳴る黎児。

「廃人とオタクが朝から雁首揃えて、他に話す事ないんか。お前らそんなやから、いつまで経っても彼女できへんねんぞ。ちぃとは進歩せぇや」

明らかに侮蔑の眼差しで視線を向ける真琴。

「彼女どころか同性に走るガチホモと一緒にすんなってんだ」

「ホモちゃう言うてるやろが!お前マジいてまうぞ!」

「上等だ、表出やがれ!」

朝から机の上に上がって睨み合う二人に、クラスメイト達が喝采を浴びせる。

が、それもここまで。

「久世!巫!お前ら何やってる!」

ホームルームの為に教室にやって来た担任によって、両者の対決はお流れとなったのである。