そして、何も知らない島田が
当然の事を聞いて来る。

「さっき、あんたは息子が死んだって
言ってたけど…
上?それとも下っすか…?」

(違う…上も下も
いない。
ただ一人、自分が愛すべき息子は…
ただ一人…)

それを否定したのは
…三波だった。

「奥さんが病院に駆ける間、署の人間が
もう問い合わせたよ。
一人しかいない」

「な…」
言葉が出ない。それを飲み込み、
「ちょっと…待って下さい!
妻の名前は何でしたか!」
人違いでは、たまったものでは無い。