「楓…愛してる……」




あたしは、耳元で呟くとベッドを出た。



「さよなら」そう言うように「愛してる」と呟いて、

落ちた服を拾って着る。




早く部屋出なくちゃ。

ここから出なくちゃ。



冷たくなった服。

楓に温められた身体は一瞬それを拒んだ。





「陽菜…?いきなりどうしたんだ?」




何も答えずに、無理やり服を着る。

一瞬にして冷える身体。


今にも涙が溢れそうだった。




「陽菜…?帰るのか?」



――ごめんね、楓。



「おい、無視するなよ」



――ごめんね、ごめんね、ごめんね…