「……あたし、行くね」


坂本さんが泣きやむのを待って、階段をかけあがる。


「……待って」


坂本さんの小さい声があたしの背中にかかる。


「なに?」

「あなた悠に会ってどうするつもり?」


どうするって……。


「問い詰める?」

「悠ともう一回やり直しなさいよ」

「え……」

「私に勝ったんだから当たり前でしょ。悠は大丈夫よ。あなたのことずっと思ってたんだから」


すごいな、坂本さんは。


あたしだったら、恋敵にこんなこと言えないもん。


強いんだな。


「断ったら許さないんだから」

「……わかったよ。考えてみる」


付き合う……か。