「構わないわ、気持ちが入ってなくたって。無視されるよりずっとましよ」

「あたしはそんな風に好きにはならない!!」


キッと坂本さんを睨み付ける。


あたしの反論に顔を歪ませている。


「好きになったら、小細工一切なしで振り向いてくれるように努力する。相手に好きになって欲しいから。汚い手を使う人には、人と付き合う権利なんかこれっぽっちもない!!!」


坂本さんの手が拳になって、体の横でブルブル震えている。


「なによ、なによ……。バカみたい。そんな正々堂々とやったって、好きにはなってくれないのに。小細工を使って何が悪いのよ!どんな形であったって、そばにいたいじゃない!」

「あたしを使えば、悠を手に入れられるとでも思ってんの?あんた、最低最悪の手口だよ」

「うるさあいっ!!」


バシッと頬が鳴る。


いったいなあ~……。


でもここで手を出したら、坂本さんのことだからそれこそ退学し兼ねないし……。


「何よ、何よ、なんで私じゃないの!?私の方が悠とお似合いなのに……なんであんたなのよっ!!」


坂本さんが泣き崩れる。


聞いてるとなんかムカつくけど、でも言いたいことはわかる。


坂本さんはあたしなんかよりも悠とお似合いだから。


あたしよりも坂本さんの方がずっと可愛いから。


坂本さんも、悠のことが大好きなんだ。