零said

千鶴のチョコで気を失った私は夢を見ていた。

とても安心する心地のいい夢…

ふわふわ浮いているような感覚で温かく落ち着く匂いに包まれている感じ

ふわふわ浮いている感覚で抱き上げられてるのがわかった。

この温かく落ち着く匂いは前にも一度嗅いだことがあるような気がする…

何の匂いだろう?

考えていると自然と笑みが出る

なんかこの匂いすごく

「…す……き」

この懐かしい香りを

好きだと思った。

ただこの匂いとぬくもりを心のそこから好きだと思った。

この人誰なんだろ?

後で千鶴たちに聞いてみよう─…



目が覚めると保健室。

視線をずらして見ると心配そうな千鶴と優香の顔。

「零、大丈夫?」

千鶴が遠慮がちに聞いてくる。

私は起き上がり周りを見回しながら

「…うん、大丈夫」

私が上の空で答えると優香は心配そうに

「どうしたの?まだしんどい?」

と聞いてきた。

「大丈夫、ねぇ私を運んでくれたのって誰?」

「あ、それは…んっ」

私の問いに答えようとした優香は千鶴に手で口を塞がれていた。

「どうしたの千鶴?」

どうして優香の口を塞いだのかわからなくて首を傾げて聞くと千鶴は真剣な顔で言った。

「運んでくれた人のこと、気になるの?」