しばらく無言で歩いて私の家の近くに来た時慧が口を開いた。

「…お前馬鹿だろ」

「へ?」

口を開いたと思ったら馬鹿と言われ、怪訝そうな視線を慧に送る。

「へ?…じゃねえよ敵チームに名前名乗る馬鹿がどこにいんだよ」

「う…」

「もし居たとしてもトップシークレットのやつはぜってー名乗んねーぞ。どこから漏れるかわかんねーから」

慧にそう言われはっとする。

仮にも黒鳥ゲンは敵チーム、しかも風雅に喧嘩を売ってきている。

ましてや舞姫の情報はトップシークレットなのに黒鳥ゲンが舞姫の正体を知った時どうなる?

…大変なことになるとこだった

そうならなかったのは慧が止めてくれたおかげ…

そう考えているうちに家の前に着いた。

「慧…ありがと」

恥ずかしくて俯き加減で言う

「ああ…、今度から易々と名乗るなよ?」

「うん、わかってる」

「じゃあな」

慧が歩いていく。

慧怒ってるかな?

敵チームに名前名乗ろうとしたから…

でももし怒ってたとしても最後にもう一度お礼を言っておきたい。

「っ慧!」

「ん?」

少し離れたとこを歩いていた慧が振り返る。

「今日は、ほんとにありがとっ!」

そう叫ぶと少し驚いて

始めて見る優しい笑顔で微笑んでくれた。

ドキンッ