「…それ聞いちゃう?」


聞きたくない。

本当は聞きたくないよ。

聞いてしまったら、この関係は壊れてしまう、そんな気がするから…。

でも……。


「私、付き合わされてるんだよ?理由を聞く権利くらいあるよ」

「…………ごめん」

しばらくの沈黙のあと、井上くんは静かに口を開いた。

「好きな人がいるんだ」



……やっぱり。

本当は薄々気づいてたよ?

だって、時々別の場所を見ているから。

そんな時は決まって悲しい顔をしている。

さっきみたいに…。



「取り敢えず、場所変えない?」

「そうだな」

私たちは近くの公園に行くことにした。