10メートルくらい走ったところで、我に返り、立ち止まる。





呼び止めてくれへん黒岩は、もうあきれてしまったんやろか。






「黒岩、ごめん」




振り返らずに呟いてみるけど、その声が届いたかどうかわからん。






「俺の方こそごめん!!」




黒岩は私のすぐ後ろにおった。




で……




優しく私の肩に手を乗せた。







「ごめん、萌ちゃん」



「違う。私が悪いねん。ごめん」



「ちゃうよ。俺が悪かった」



「ううん、私があほやねん」




そっと肩に乗せられた手が、すごく温かくて……泣ける。