「今度は山菜掘りにでも行くか?」
無邪気な笑顔を向けられる。
黒岩は、案外自然の中が好きみたい。
「その次はいちご狩りにでも行く?」
私も嫌いじゃない。
都会の人ごみはあんまり好きくない。
小さい頃から自然の中で遊ぶのが好きやった。
「いつかふたりで畑でもやるか」
「いやいや、それはちょっと……」
空を見上げる。
森の木々の隙間から太陽の光が差し込んで、目を細める。
陽太みたいな太陽。
うわ!
今、頭の中で“陽太”って呼んでしもたやん。
うわ~!ドキドキする。
「どうしたん?」
私の顔を覗きこむ黒岩から、顔をそむける。