「青山に、どうやってアタックするん?」
アタックって響きが古臭いようで、姫華ちゃんは笑い出す。
「アタックなんかしいひんよ。人気あるし、こっそり見てるだけでいいもん」
そう言った姫華ちゃんは、ちょっと寂しそうな表情で、遠くにいる青山を見つめた。
「アタックせな!!見てるだけやったら、何もないねんで!!」
「そうや!萌美だって、見てるだけやったら絶対に両思いにならんかったもん。まっすぐにぶつかって行ったから、今があるねんもん」
瑠美はそう言って、私の目を見た。
うん。
せやわ、ほんまに。
見てるだけでいいって思ってたら、きっとあのまま卒業してた。
黒岩のことよくわからんまま、私のことも知ってもらえんまま。