高校の校舎が遠くに見えてくる。



真新しい制服を着た生徒が、緊張しながら歩いてる。




そっか。


当たり前やけど、高校には黒岩がおらんのや。


職員室行っても、黒岩には会えんのやな・・・・・・





「で、こないだの話詳しく聞かせてよ」



「え~、恥ずかしいわ」





そう。


こないだ。【以下回想】





卒業してからしばらくしたある日。



黒岩に電話をした。




“念のため”って教えてくれたケータイの番号。





『もしもし、小阪です』



『お前、遅いっちゅうねん!普通、次の日にはかけてくるやろ?』





え・・・・・・


めっちゃ緊張して電話したのに、そんな反応?


そりゃ、卒業式の夜に電話したかったで?



でも、そんなんあかんかなって思うやん。




『お前、まだケータイ持ってへんのやろ?家の電話からやったらお金かかるから、今から会わへんか?』




会わへんか・・・・・・って!?



まじで?




『今から中学来いや。俺、おるから』