黒岩の写真が部活内で出回った。
練習風景を先輩の友達がこっそり隠し撮りしたらしい。
“私も欲しい”
思わずそう言ってしまいたくなるような、かっこいい写真。
真剣な横顔。
走る姿。
大きな口を開けて、指示を出す黒岩。
ほんまにかっこええ・・・・・・
「欲しい人おったら焼き増しするで~」
と先輩は言った。
すると、黒岩のことを好きな先輩は、手を挙げた。
その他にも何人かが、黒岩の写真の焼き増しを頼んだ。
「はい!!私も欲しいです!」
手を挙げたのは・・・・・・
なんと、
姫華ちゃんやった。
みんなびっくり顔で姫華ちゃんを見た。
一番びっくりしてるのは私で・・・・・・
「姫華ちゃん、ありがとう」
私は姫華ちゃんの手をぎゅっと握って、愛らしい笑顔を見つめた。
「私、何もできひんから。いつも助けてもらってるから恩返ししたくて」
姫華ちゃんは、私の気持ちを知って、手を挙げてくれた。
「でも、萌ちゃんなら、直接黒岩コーチに頼んだらいくらでも写真撮れるのに」
姫華ちゃんは、そう言って、私の両腕をブ~ンと左右に振った。
「めっちゃ嬉しいわ。姫華ちゃん、ほんまにありがとう。写真欲しかったけど言えんかったから」
「姫華ちゃんに先越されたぁ!私も、手挙げようかと思ったのに」
と瑠美が悔しがった。
幸せ者や、
私。