黒岩は、お母さんに挨拶をして、今回の怪我のことを説明した。
お母さんは、私の恋の相手が黒岩ってことを知ってるから複雑な顔をしとったけど。
「黒岩、ほんま、ありがとう。試合、最後まで見れんかって、ごめんな」
「何言うとんねん。試合も大事やけど、萌ちゃんも大事やし・・・・・・」
と、車の窓から手を出した。
「んじゃ、行くわ。おやすみ、萌ちゃん」
「うん。おやすみ、陽太」
次、いつ“萌ちゃん”って呼んでもらえるかわからん。
そう思うと、黒岩のその声を忘れたくなくて・・・・・・
何度も何度も思い出して。
今日の黒岩との会話を細かく日記に書いたりして。
嬉しくて、眠れんかった。