「じゃあ、帰ろか」
30分くらいいろんな話をした。
こんな風に話すのはめちゃめちゃ久しぶりで。
めちゃめちゃ癒された。
黒岩のこと、好きで良かったって。
そう素直に思った。
なにごとも真剣で。
一生懸命話を聞いてくれるし。
私のことも、自分のことみたいに考えてくれて、さ。
「明日俺お前の学校行くから、放課後職員室来て。お前の今後について、緑川先生と話しておくから」
「私の今後?」
「マネージャーみたいな感じでサッカー部のことをいろいろやる方向でええか?俺がさっき言ったみたいに、みんなのことを研究して、この怪我をプラスに考えろよ」
私は首を二度たてに振った。
この怪我をプラスに。
うん。
もうすでに、そう思ってる。
だって、怪我したおかげで、黒岩の本当の気持ちがわかった。
私の本当の気持ちも伝えることができた。
「ほな、また明日から、お互い頑張ろうな」
「うん。黒岩コーチ!!」
「あほぅ~!まだ、ええねん。車降りるまでは、ええやんか」
そう言って、恥ずかしそうに笑った黒岩がかわいくて仕方がないと思った。
家に向かって、車が動き出した。