「萌ちゃん・・・・・・痛かったな。辛かったな・・・・・・でも、俺がおるから大丈夫やで」
抱きしめたまま黒岩は優しくそう言ってくれた。
その声は、最近聞いていた黒岩コーチの声じゃなかった。
懐かしい、甘えん坊な陽太の声。
「黒岩・・・・・・私も今日だけ言ってもいい?」
「ええよ」
ずっと言いたかった。
伝えたい気持ちがあった。
「黒岩がおってくれたから、ほんまに支えられててん。離れてからも黒岩に会えたらめっちゃ元気出たし、話せたらめっちゃ嬉しかったし・・・・・・今日だって、黒岩に褒めて欲しくて頑張ろうって・・・・・・」
「萌ちゃん・・・・・・まだ俺のこと・・・・・・」
「好きやけど、大丈夫。コーチとしてちゃんと見てる。それが黒岩の為なんやったらそれくらい大丈夫やもん」
「萌ちゃんっ!!」
黒岩は
私に
キスをした。
車の中で
ふたりきりで・・・・・・
キス、しちゃった。