「よ!」




バスを降りたらすぐに黒岩がおった。


ジャージ姿の黒岩は、かっこよく右手をあげる。



数人の部員が、かっこいい!と声をあげて・・・・・・


黒岩は、あほか!と言って、歩き出した。






まだ


目、合ってない。




話してない。




黒岩の背中を見つめながら歩く。




「あ、小阪!これ、黒岩コーチに渡してきてくれるか?」


緑川が私にノートを渡す。


え?

なんで?




「頼むわ」



緑川、もしかして・・・・・・?


私のために。




「萌美、行っといて」



瑠美が背中をドンと押してくれた。




タッタッタッタッタ・・・・・・



走る。





大好きな背中に向かって。








「なぁ、黒岩コーチ、待って」






「んぁ??」





振り向いた黒岩は、私を見てびっくりした顔をしてる。



私からこんな風に話しかけるのは珍しいから。