「今日は、みんなにええ知らせがあるんや。週末に練習試合が決まった!!」
みんなの前で腕組みをしながら、陽太・・・・・・いや、黒岩コーチが言う。
みんなが声をあげて喜んだ。
着実に力をつけてきているうちらのチームは、早く実践で戦いたくてうずうずしてたんや。
なかなか相手がおらんかったけど、ようやく見つかった。
「喜んでるのは今だけやで。相手は、女子サッカーで地区優勝した高校や」
黒岩は、ニヤリと笑った。
「えーーーーー!いきなり?」
「そんなん無理~」
「負けるやん」
と文句を言う先輩達。
「負けると思うヤツはこんでええ。勝てるって思うヤツだけ試合に出す」
厳しい表情に変わる。
この顔、好き。
ふたりでおる時は、絶対に見れん表情やもん。
「おい、小阪!お前は勝てると思ってるやろ?」
みんなの前でいきなり名指しされた。
嬉しいけど、戸惑ってしまう。
きょろきょろする私の隣で瑠美が背中を突っつく。
「はい!!もちろん!!絶対勝ちます!!」
大きな声でそう言った。
「ほら、やっぱり。みんな小阪を見習え」
嬉しかった。
黒岩はわかってくれてる。
サッカー部の部員としてでいいから、
一番好きでいて欲しい。