寂しそうな緑川先生。
「何が怖いんですか?過去に悪かったからですか?」
「ごめん。ちょっと被害妄想になってるわ、俺」
立ち上がる緑川先生。
「話あんねんけど、教室行ってもええか?」
私に向けるその笑顔は、元彼女に向けた笑顔とは違うんかな。
どんな風に大事にしてたんやろう。
廊下を歩きながら、緑川先生に声をかける。
「緑川先生、黒岩先生と萌美のこと、これで良かったと思う?」
ずっと気になってること。
黒岩先生と萌美は好き同士やのに、なんで・・・・・・こうなったんやろう。
「俺も、実はその話がしたくて呼び出したんや」
緑川先生はやっぱり優しい人や。
ちゃんと心配してくれとったんや。
「俺も、これで正しいとは思わん。でも、黒岩先生が出した答えやから、どうにもできんねんなぁ・・・・・・」
廊下の窓から夕陽を見つめながら緑川先生は切ない表情をした。
誰かを愛したことがあるから、わかるんやろうな。
私はまだ何も知らんから。
「萌美がかわいそう」
「そうやな。俺からも、頼むわ。大越が小阪のこと支えてやって。お前は友達想いやし、頼りになるから」
振り向いた緑川先生は、まぶしそうに顔をゆがめながら微笑んだ。
・・・・・・超、かっこいい。
しかも、超、嬉しい言葉をくれた。