「なんでよ。別に今まで通りでいいんちゃうん?」




声が震える。



手も、震える。




怖い。



黒岩が遠くなるなんて。





「今まで通りやったら、俺は無理やねん。やっぱりお前のこと特別な目で見てしまうし、それに・・・・・・俺との関係がバレたらお前が辛くなる」




猫の鳴き声が激しくて良かった。


鼻をすする音がかき消される。




「辛くなんかならん・・・・・・もん」




「俺としては、小阪が元気で楽しく高校生活を送ってくれることが一番嬉しい。俺のせいで辛くなったり楽しくなくなったりするのは耐えられへん」





そんなん。


嫌。


いやや。





「い・・・・・・や・・・・・・や。そんなんやったら、コーチなんか、せんでいいから」




涙が止まらんかった。


さすがに、黒岩も気付いたみたいで。



少し私に近付いて、頭に触れた。