「せ、静夜くん…!?」
「なんでここに…」
「どうして?」
あたし以外の女子が顔を青くしてざわめき始めた。
『なんで…』
あたしもそれしか言えなかった。
「すごい一方的に見えるんだけど、それって俺だけ?」
少し笑った麻生が、ちょっとだけ怖く見えた。
「そ、そうなの!神谷さんが…」
「そうそう!神谷さんが急に…」
とっさの嘘が下手くそな人たち。
あたしがどうしたって――?
言ってみなよ。
「違うよね?君たちが砂希ちゃんを呼びだしたんでしょ?」
「えっと、あの…」
何も言えなくなって黙り込んだ女子集団。
「今後一切砂希ちゃんには手を出さないでくれる?俺たちの関係、知ってるでしょ?」
『ちょっと…!』
「次に砂希ちゃんに手を出したら、俺本気で怒るよ」
ニコッと笑った麻生。
普段ならキャーキャー騒いで喜ぶ女子集団は、
「ごめんなさいっっ!!」
といって、走り去って行った。
その場には、あたしと麻生の2人だけがぽつんと立っていた。
『なんで来たの』
「クラスの女の子に聞いたら教えてくれた」
『どうして聞いたの』
「砂希ちゃんが呼び出しくらってるの知ってたから」
麻生は表情を変えない。