「そんなこともわからないんだぁ」
「やっぱバカじゃん?」
「「「きゃははっ」」」
今度はあたしをバカにすることにしたらしい。
別に何とも思わないけど。
で、何も言わず無言でいると、
「おい、シカトかよ」
「調子乗んなよ」
と、また怒りだす。
だいたいパターンは読めてきた。
この繰り返しで、チャイムが鳴れば終了。
チャイムまだかな…。
「人の話聞いてんの!?」
「シカトすんなよ!」
『はいはい…』
って、反応したのに、
「何その態度!」
とキレだす。
この単細胞が…。
で、結局手が出てしまうこの人たち。
あたしもわざわざ叩かれてやる義理はないから、一つ一つ避ける。
それが気にいらないのか、ただの呼び出しが殴り合いにかわる。
あ、違う。
あたし何もしてないのに“殴り合い”っておかしいか。
でも、チャイムが鳴り終わるまで結構きつい。
逃げちゃえば楽だけど、絶対追いかけてくる。
そうすると、いろんなひとに目撃されて梨沙達にバレる。
「はい、ストーップ。何してるの?君たち」
あたしの前に現れたのは、
麻生静夜
だった。