ゆっくり廊下を歩いていると、校門からたくさんの生徒が登校してきたのが見えた。



…もうそんな時間か。


梨沙、どこいったんだろう。


朝日が来てくれればいいんだけど…。


……あたしに梨沙を心配する資格はないか。



ふぅ、とため息をついてから体育館倉庫にむかった。



たぶんあたしは教室に居るより、屋上か体育館倉庫にいる時間の方が長いと思う。



――――
――


『おはよーございまーす』


軽く挨拶をすると、かたまっている女子がみんなあたしを見た。


もう目が、ヤバいよね。



毎回何人か増えてる気がするのはあたしだけかなぁ…。



「その口調、ウザい」

「ムカつく」

「なんであんたが」

「ブスのくせに」

「性悪女」


みんな一斉に言われても、全部聞き取れないよ。


ちょこっとずつ拾える悪口。


『用件はなに?』


「あんたみたいな女が近付かないでよ」


『…誰に?』


あたしの言葉に、最初に話しかけてきた女子が顔を真っ赤にして怒った。


「そのくらいわかるでしょ!!」

『わからないから聞いてるんでしょ』


その子は、もう一回怒るかと思った。

けど、怒るのをやめた。